ヒト

誠実に、勤勉に。
育まれてきた精神性と新たな仲間の力で
いきいきと成長し合えるまちに。

鶴岡信用金庫 理事長

佐藤 祐司

サトウ ユウシ
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大正から昭和へと元号が変わった1926年に、信用組合として設立。以来90年以上にわたり、地元企業とともに地域経済を支えてきた鶴岡信用金庫。理事長の佐藤祐司から見た鶴岡のまちと人、またその未来に寄せる想いについて聞いた。

「誠実で、勤勉な方が多いなと感じています」

入庫以来、数え切れないほどの企業、そこで働く人々を見てきた佐藤は、鶴岡人の気質をこう見る。「だからこそ、応援したくなる」という言葉通り、通常業務においてはもちろん、それ以外にも地域のための取り組みに力を入れている。

一つは、若手経営者塾「マネジメントキャンパス」。45歳以下の地元企業の次期経営者や起業を検討している人を対象に、年間約9コマ、企業経営者などによるさまざまな講話とディスカッションをセットにした学びの場を提供している。

「2018年度で3期目を迎えましたが、毎年40名近い方からご参加いただいています。10年続ければ400名近い方を輩出することになり、地域全体にとっても大きな力になるはずですし、ディスカションに重点を置いているので、自然と受講生同士のつながりが強くなるんです。卒塾後、すでに事業を興された方も何名かいらっしゃって、頼もしい限りですね」

このような地域密着の取り組みに力を入れる一方で、信用金庫ならではのアプローチで、地域を越えた取り組みも続けてきた。

「全国には261の信用金庫があるんですが、ネットワークを活かし交流人口の増加に努めてきました。10年ほどの間に、65の信用金庫との連携を通じ、約20,000人の方が鶴岡を訪れてくださいました。これをきっかけに、プライベートでリピートしてくださる方もいらっしゃるようなので、地道な取り組みではありますが今後も続けていきたいと考えています。また、販路拡大などのビジネスマッチングにも、地域を越えて取り組んでいます」

信用金庫の仕事が、天職だと気づかせてくれた言葉

そんな佐藤がずっと大切にしてきた言葉がある。積小為大。「小さなことを疎かにしては、大きなことを成し遂げることができない」という意味の、二宮尊徳翁の言葉だ。

「私はあまり器用な方ではなく、何事も人の倍努力しないとついていけないことを子どもの頃から感じていました。農家の長男として、鶴岡の大自然と根気よくつきあってきた父や母のもとで育ったことも影響しているのかもしれませんが、早くからコツコツやることを大切にしてきました。この言葉を知ったのは社会人になってからなんですが、私が大切にしてきた姿勢とピッタリ合致していることを知り、座右の銘にさせてもらっています」

厳しい自然とうまくつきあい古くから農業を生業とし、「深く考え、軽々しく発言せずに行動する」という藩校の教えを大切にしてきた鶴岡の人々。佐藤が地域の人々に見出し、また自身も大切にしてきた「誠実勤勉たれ」という価値観は、遺伝子レベルで刻み込まれたものなのだろう。

鶴岡人の佐藤が積小為大という言葉に惹かれたのは、ごくごく自然なこと。そう結論づけることもできるが、彼とこの言葉の間にはさらに強い結びつきがある。

「二宮尊徳翁が唱えた『報徳思想』は、相互扶助の精神を大切にする思想で、それは信用金庫の原点でもあるんです。二宮尊徳翁は江戸末期に相模国(現・神奈川県小田原市)で生まれ育ち、たくさんの地域の財政難を救ってきました。日本初の信用金庫が生まれたのは静岡県掛川市なんですが、小田原から近いこともあり、設立にあたり二宮尊徳翁の考え方や方法論の影響を大きく受けたという話があるんです」

築き上げた信頼と新たな力で、成長し合えるまちに

地域内外のつながりを活かし、企業によりそい地域経済を支えてきた鶴岡信用金庫。理事長である佐藤はじめ、職員全員のモチベーションになっている「夢を応援したい」という強い想いは、移住者たちにとっても大きな力になっている。

「メタジェンさんやヤマガタデザインさんなど、鶴岡に移り住み、若くして事業を興す方が増えています。同じ水を飲み、空気を吸い、それらが育んだ食べものを食べる、『同じ釜の飯を食べる仲間』として、融資というかたちで応援させていただいている我々はもとより、地域全体が成功してもらいたいと思っているのではないでしょうか。しっかりとしたビジョンと計画性を持っていることはもちろんですが、知らない土地に移り住むことも厭わず、夢を徹底的に追い求める姿勢は本当に素晴らしいと思います。私たちにできることは限られていますが、彼らに続き、夢を叶えるために庄内に移住してくる人たちのことも、地域と一体になってしっかりとバックアップしていきたいですね」

地域に根ざした価値観を軸に信頼関係を育み、発展してきた鶴岡の経済。新たな仲間が次々に加わり、地元企業と刺激し合いながらともに成長していく未来を実現するため、今日も佐藤は着々と準備を進めている。

鶴岡信用金庫 理事長
佐藤 祐司 サトウ ユウシ

1957年、山形県鶴岡市の農家の長男として生まれる。法政大学にて金融を学び帰郷。地域密着の姿勢に共感し、新卒で入庫。お客さまに寄りそうことを徹底し、営業職として外回りをしていた頃には、1日に120件ものお客さまを訪問することもあった。2008年より専務理事を務め、2015年より現職。

鶴岡信用金庫

1926年設立の、山形県最大手の信用金庫。2008年に酒田信用金庫と合併し、庄内唯一の信用金庫となる。庄内地方の全自治体と新潟県村上市の旧岩船郡山北町の一部を営業エリアとし、「信用・信頼・しんきん感」の基本理念のもと、地域経済の持続的発展に努めている。
鶴岡市馬場町1番14号